ベッド遍歴は今も執筆途中です

人間、生まれてから死ぬまでいったい幾つのベッドのお世話になるのか、とふと考えたことがあります。ほんの歩と昔前ならば、生まれるのも死ぬのも畳みの上であったのでしょうが、いまやほとんど場合、畳ではありません実は一度経験した、少なくとも一晩寝たベッド遍歴を文章にしようと試みたことがあるのです。なぜかというと、人生の四分の一程度をその上で過ごしているにも関わらず、ベッドについて語られているものがあまりにも少ないからです。記憶にある最初のものは確か二段になったものでした。兄弟で上に眠るか下に眠るか喧嘩になったものです。それ以降様々な場所で様々なメーカーや様々な素材のものにお世話になったのですが、忘れられないものや事柄がいくつかあります。これは子どもの頃、どこかで読んだ話なのですが、あるラジオ番組を寝具メーカーが買い取って、当社の製品でゆっくりお休みください、とナレーションを流した後、何の音楽も何の言葉も流さなかったというのです。

このコマーシャルがその寝具メーカーの売上にどれくらい貢献したのかはわかりませんが物凄く印象的に覚えています。流石に現代ではこんな大胆なコマーシャルを流すことはないでしょうが、いつの時代の話かは記憶にありませんが斬新な試みであったことは確かです。本や雑誌で読んだものでもなく、実際に寝て記憶に残っているのは、やはり出張先や旅先の宿泊施設のベッドではないでしょうか。旅の印象は宿泊施設で決まる、とよく言われますが、宿泊施設の印象はベッドで決まる、というのが持論です。どれだけ部屋が清潔できれいであったとしても、身体に合わないベッドであった場合はどうしても、そのホテル全体の印象が悪くなってしまいます。反対に安価な宿やゲストハウスであったとしても安眠できた場合の印象は格段によくなるのです。旅先では多少なりとも緊張を強いられていますから、普段の生活よりも寝具の役割が大きくなるのかも知れません。そういう意味で良い印象が残っているのは、なぜか全て南の国に旅行した時に経験したベッドです。それも決して高価とは言えない宿泊施設の寝具の印象が強烈に残っています。それも夜ではなく昼寝の思い出なのです。あまり褒められたことではありませんが、クッション部分を、ビーチまで持ち出して太陽の下でその上に寝転がって本を読むのが好きでした。

眠くなればそのまま昼寝に突入するのです。今までで最高のゆりかごでした。

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